そこの愛すべき日々

ブログ始めてみました。まだ全然何も分かりませんが、日々のこと、本のこと、娘の成長日記的なことを書いていければと思います。

【素人感想】『最悪』(奥田英朗) の解説・感想

こんばんは!

 

今回は『最悪』(奥田英朗)を読み終わったので、解説と感想を書いていきたいと思います!

 

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まあ、「ほんと最悪だわ…。」ってのが

アホ丸出しの感想なのですが。

 

 

奥田英朗は「伊良部シリーズ」「邪魔」「無理」「ガール」あたりを読了済で僕の中では割と読んでる方なんですが、「邪魔」「無理」が重いので当然「最悪」もめちゃくちゃ重いんだろうなと軽く敬遠してましたが、この度読んでみました。

 

 

話のペースとしては、終盤にかけてどんどんスピードアップしていきます。

 

中盤は読むのがしんどくなってくるくらい各登場人物が追い込まれて、落ちていって、ぶっ続けで読んでいったら鬱になるなと思い、大分ペースダウンしました。

 

メインの3人が出会って、話の筋が1本になってからはかなりのペースで読み進めました。

 

前半は奥田英朗らしく、各人物ごとのエピソードが細かく描かれているわけですが、さすがにどの人物もリアルでスッと自己投影出来ました。

 

3人ともスルスルとごく自然に、そして抗いようがなく、それぞれ最悪へのレールを下っていきます。

 

大体このようなメイン人物が複数いるタイプの小説は「特にこいつには共感出来る」というような、自分の中の最メイン人物が決まってくることが多いんですが、今回は僕的にはメインの3人とも甲乙つけ難く、3人ともすごく共感出来ました。

 

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各登場人物は、

 

▪️川谷 信次郎(かわたにしんじろう)

1番イライラしたかな、追い込まれた時に自分の思ってることとは違う言動・行動を衝動的にしちゃうあたりが抜群に弱い。

 

ただ小さな町工場の社長として、家族を背負った主人として、色んな方面から圧をかけられて、かなりしんどい中でも冒険してみたいという願望はよく分かるし、何とか成功して欲しいと心から思えるからこそ、落ちていく様は辛かった。

 

▪️藤崎 みどり(ふじさきみどり)

前半は1番やるせなかったかな、男社会で働いてる女の人ってこんなにしんどいのかなって思った。

 

支店長にヤられるくだりは本当にぶち殺したくなった。支店長自身のことは大して描かれていないからこそ、やった行為には深い意味とか全然なくて、ただの衝動だったのだろうから男のクソさを存分に味わされた。

 

ただ自分を支店長に置き換えた時に、あの状況になったらヤろうとする心が全く芽生えないかというと正直そんなことは全くないので、自己嫌悪も含めて胸糞悪すぎた…。

 

終盤の3人が絡み合ってからは1番救えるポジションだったので、まだまともに見てられた。

 

▪️野村 和也(のむらかずや)

1番アホで救えないなと思った。タカオの2度目の裏切りはどう見ても分かりきってたし、頼れる・一緒にいれる奴がいることの有り難さってのは重々分かるけど、にしてもってのがあるでしょ。

 

でもアホなだけあって、めぐみとの絡みとかは男らしく筋が通ってて、かっこいいと思える部分は確かにあった。

 

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でも個人的に1番リアルに最悪なんじゃないかと思ったのは、野村 和也との絡みがある、年増なホステスの楓。

 

こいつ普通にめちゃめちゃいい奴じゃん。

何にも悪いことしてないよ。

和也のことを気にかけて、下心があったにしたって、それは性欲ってよりは人欲っていうような全く悪い欲求ではないし、むしろ人として持つべき欲求でしょ。

 

しかも物語の中枢にはほとんど関係ない絡み方で、ものすごくあっさりと和也に裏切られて、その後は知りません。って感じ

 

そりゃめぐみの方が若いし、色んな意味で可愛いんだろうけど、めぐみのことをそこそこ大事にするなら、少しくらいその優しさを楓にも分けてやれよ。

 

楓は過去が暴力を振るうような男ばっかりで、和也の芯にある優しさとかそのへんをしっかりと見出して、関係を持っただろうにあれじゃあもういたたまれないよ。

 

でも何故か、

「つくづく男運ないよね、お前...」

って女の人けっこういるよね。

 

 

人としてめちゃめちゃエッジが効いてるわけではなく、メインもメインじゃないどの人物達も

 

「あー、こういう奴いるよね。」

 

っていうリアルさがある奴ばっかっていうのが、何よりの魅力ですかね。

 

 

結末としては最後に救いがきてほしいけど、もうどうせならとことん落ちてほしい気もする、と僕の希望ははっきりしないまま読み終えましたが、

 

どちらかというと締めは救いの要素の方が強いのではないでしょうか。

 

終盤は恐ろしいスピードで進んでいって、息をつく暇もなかったですが、最後はそれぞれひと段落ついて、

 

「さあ、1からやり直そう!

人生これから。何とかなるさ!」

 

とまではいかないにしても、

近しい雰囲気を個人的には感じました。

 

なので読むのは正直疲れましたが、読後感はそこまで悪いものではありませんでした。

 

 

「最悪」を読んで、ここまで書いてきたようなことを少しでも思った方というのはいらっしゃるもんなんでしょうか。

 

同じ本を読んで感想を言い合う

というようなことをしたことがないので、

どなたか読まれた方がいらっしゃいましたら、

是非感じたことを教えていただきたいです。

 

それでは。